EUの移民問題について言えるのは、国によってスタンスがまちまちな事である。所謂「同化主義」の代表とされる国はフランスで、反対に「隔離主義」の代表とされるのがドイツである。本当はその折衷のような政策が最も最適解に近いのだが、どうしても先述のどちらかに偏ってしまう傾向にある。
これについても、イスラム系の移民を形式的に受け入れたとしても雇用や様々な側面での差別や迫害かベースに存在し、それを積極的に解消しようという努力の欠如の結果として、彼らが社会に対して不満やフラストレーションを抱え込み、そのはけ口や受け皿となるものが過激思想だったり、原理主義的に基づくヘイト的な活動に結びつくという悪循環を招いている。
上記を踏まえて、改めて今の日本の社会を顧みてみよう。移民については、実は千年以上前から、中国や朝鮮半島からの「渡来人」を受け入れているし、大阪や神戸のようにコリアンタウン的なコミュニティが存在する。同化を強いる訳でもなく、かつ社会の底辺に隔離するのでもなく、実に上手に「共存」している。さらに、おそらく日本ではイスラム系の人たちがテロを起こす危険性は極めて少ない。なぜなら様々な宗教に対してものすごく寛容だからである。クリスマスを祝ったすぐ後に神社に初詣に行き、亡くなったらお坊さんにお経をあげてもらう。日本人の大半がそれを当たり前のように受け入れている。つまり、EUが直面している問題の答えを、既に日本は手にしているのである。あとはそれをどうやって「共有」するか、更に踏み込んで言えばヨーロッパの人々が日本人の営みから学ぼうという意思があるか、ということなのである。
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